脊髄損傷、脊椎の圧迫骨折
「頚髄損傷」は後遺症の中でもかなり重傷ですが、「脊椎の圧迫骨折」も「脊髄損傷」と受傷部位が同じであることから両者は切っても切れない関係にあります。実際、脊髄損傷で重症の方は、脊椎の圧迫骨折がみられたり、椎弓形成術や前方固定術などの手術を受けている方がほとんどです。
以下、「頚髄損傷」と「脊椎の圧迫骨折」のポイントについて解説します。
1 脊髄損傷、圧迫骨折の特徴・注意点
- 等級獲得の難易度が高いこと
- 画像分析が不可欠であること
- 専門の弁護士による病院同行を中核とするサポートが必須であること
- 圧迫骨折では上位の等級の獲得を検討すべきこと
- 圧迫骨折では保険会社がかなり低い金額を提示することが多いこと
⑴ 等級獲得の難易度が高いこと
脊髄損傷は等級獲得の難易度が高いことが大きな特徴です。骨折やムチウチの後遺症よりも高い次元の後遺症サポートが求められます。
そして、後遺症の申請の手続きを保険会社に任せてはならず、専門の弁護士に依頼して被害者請求の手続きをとる必要があります(※)。
※後遺症の申請の手続きは、①被害者自身が行う被害者請求(実際は専門の弁護士に依頼)と②加害者側の保険会社が行う事前認定の2つの手続きがあります。適正な等級獲得と補償を受けたのであれば必ず被害者請求の手続きをとる必要があります。被害者と利益が対立する加害者側の保険会社に後遺症の申請の手続きを任せるべきできはありません。
⑵ 画像分析が不可欠であること
医師も治療において、レントゲンやCT、MRIの画像を確認してから治療方針を進めるのと同様に、後遺障害等級の獲得に向けての作業も画像の的確な分析から始まります。この始めの段階の画像分析がしっかりできていないと、適正な等級の獲得はできません。
特に、脊髄損傷のケースでは、脊髄損傷として上位等級の認定を受けるためは、脊髄損傷に高輝度所見などの他覚的所見(画像上の異常所見)が認められなくてはなりません。
したがって、脊髄損傷のケースにおいても、まず始めにレントゲンやCT、MRIの画像を分析して他覚的所見があるか確認するのです。
そして、他覚的所見が認められた場合に初めて脊髄損傷として、後遺症の証明作業に進んでいくのです。
あきや事務所では、脊髄損傷のケースでは、レントゲンやCT、MRIの画像を分析し、本人とご家族にその内容を説明するとともに今後の方針を示した上で進めていきます。
あきや事務所が、脊髄損傷で多くの実績があげているのは、始めの段階に画像分析を行い、それを踏まえて、しっかりと証明作業を行っているからです。
【脊髄損傷のMRI画像】

※丸に囲まれた部分が脊髄損傷の箇所です。脊髄損傷を示す高輝度所見が認められます。
⑶ 専門の弁護士による病院同行を中核とするサポートが必須であること
脊髄損傷のような重症のケースでは、専門の弁護士による病院同行のサポートが不可欠であり、本人に同行して医師と面談し、医師と協議して、後遺障害等級の申請に向けて準備していく必要があります。
そして、脊髄損傷における後遺症サポートの内容の中核は病院同行です。
あきや事務所が、脊髄損傷のケースで、多くの実績をあげることができているのは、画像分析がしっかりとできていることと、病院同行を何度でも行い、徹底した後遺症サポートを行っているからです。
脊髄損傷ほど重症のケースでは、病院同行のサポートもせずに適正な等級がとれるほど甘くありません。
⑷ 圧迫骨折では上位の等級の獲得を検討すべきこと
ア 圧迫骨折では、脊髄損傷として上位の等級獲得を目指すこと
脊椎の圧迫骨折がみられたり、椎弓形成術や前方固定術などの手術を受けている場合、「脊柱に変形を残すもの」に該当して11級7号は認定されることは多いのですが、等級獲得のための本当の勝負はその先にあります。
手術後に、上・下肢の麻痺、痺れ、上・下肢の疼痛、排尿障害など、重篤な脊髄症状が残存していれば、障害の程度により、脊髄損傷として上位の等級が獲得できる可能性があります。
したがって、もし保険会社に後遺症の申請手続きを任せてしまい、脊椎の圧迫骨折や椎弓形成術等の手術を受けて11級が認定された場合でもそのまま示談を進めてはいけません。上位の等級を狙えるか検討すべきです。
当事務所では、保険会社に後遺症の申請の手続きを任せてしまって11級の認定を受けたものの、当事務所がその後に異議申立ての手続きを行った結果、5級まで上げることができた実績もあります。
イ 圧迫骨折では、骨折の程度に応じて上位の等級獲得を目指すこと
圧迫骨折(脊柱の変形障害)については、
- 脊柱に著しい変形を残すもの、
- 脊柱に中程度の変形を残すもの、
- 脊柱に変形を残すもの
の3段階で等級が認定されます。
圧迫骨折をしっかり証明して骨折の程度に応じた上位の等級を目指すことが重要です。
当事務所では、圧迫骨折で11級を獲得しているのは当然のこととして11級にとどまらず8級の多数の獲得実績があります。
【8級相当の圧迫骨折のCT画像】

【11級相当の圧迫骨折のCT画像】

⑸ 圧迫骨折では保険会社がかなり低い金額を提示することが多いこと
圧迫骨折で後遺障害等級の認定を受けた場合、保険会社は、裁判基準よりもかなり低い賠償額を提示してくることが多いので注意が必要です。
この場合、保険会社は、①認定されている等級の自賠責保険から支払われる保険金額だけを提示してくる場合と、②脊柱の変形障害では、労働能力喪失に影響がないとして逸失利益部分の賠償についてゼロもしくは著しく少ない金額を提示してくる場合があります。
当事務所が対応したケースとして以下のようなものがあります。
- 後遺障害分として自賠責保険金分の331万円しか保険会社から提示されていなかったものの、当所が対応した結果、後遺障害分について1300万円まで増加させたけケース
- 保険会社が逸失利益について80万程度しか提示してこなかったため、裁判を行い、逸失利益について1250万円までアップさせたケース
3 実績
⑴ 脊髄損傷・圧迫骨折の実績
あきや事務所では、後遺症の申請により、脊髄損傷や圧迫骨折として2級、5級、6級、7級、8級、9級、12級を獲得しています。
また、等級獲得後の賠償の場面でもしっかりと賠償を獲得しています。