「頚髄損傷」、「脊椎の圧迫骨折」は交通事故の後遺症の中でもかなり重傷の部類に入ります。そして、本人とご家族の今後の生活を守るためにも適正な後遺障害等級の認定と賠償を受ける必要があります。以下、「頚髄損傷」と「脊椎の圧迫骨折」のポイントについて解説します。
第1 頚髄損傷(脊髄損傷)について
1.頚髄損傷は交通事故の傷病の中でもかなり重傷のケースです
上肢・下肢のしびれの症状が強く残り、仕事にも復帰できないことも多いため、本人とご家族の今後の生活を守るためにも適正な等級の認定と賠償を受ける必要があります。
しかし、頚髄損傷の傷病で症状が相当重たいものであったとしても、真に後遺症に強い弁護士に依頼しない場合には適正な等級の認定を受けることができません。頚髄損傷のケースでは、大きな2つのポイントがありますので注意して下さい。
2.適正な等級認定を受けるためには後遺症に強い弁護士のサポートを受ける必要があること
頚髄損傷の中でも重傷のケースでは、後遺症に強い弁護士に依頼していない場合でも、脊柱の変形障害として11級やしびれの症状で12級が認定されることが多いのですが、その等級より上の等級の認定は受けられないと誤解してしまって11級や12級の内容で示談している方が多くみられます。
当事務所では、11級7号が認定されていたケースで、異議申立ての手続きを当所がおこなって5級まであげたケースと6級まであげた実績をもっています。
つまり、もともと認定されていた11級7号は適切な等級ではなかったのです。
脊髄損傷のケースは後遺症の等級についての難易度が高いので、実績のある真に後遺症に強い弁護士に依頼する必要がありますので、注意して下さい。間違っても治療が終るまで何もしないで、治療が終わった段階でやっと動き出して、医師から後遺障害診断書をもらうだけの対応しかしない弁護士に依頼してはなりません。
なお、当所では、難易度の高いケースでは、被害者に1度事務所にきてもらい、レントゲン画像、CT画像、MRI画像をモニターで示し、画像上どの点に異常があるのか、今後、等級をとるためにはどのように進めていくのか、そのための課題や問題点はなんなのか、被害者やご家族がしなくてはいけないことは何なのかを説明して、今後の方針を明確に示します。そして、その上でしっかりと後遺障害等級認定に向けてサポートを行ってます。これくらいのサポートをしなくては適正な等級がとれないのです。
3.頚髄損傷の診断名が出ていても自賠責の頚髄損傷にあたらないケースがあること
病院で頚髄損傷の診断名が出ていても、自賠責の等級の考え方では頚髄損傷にはあたらないとされるケースが実はよくみられます。
このケースでは、しっかりサポートして後遺症の申請を行えば上肢のしびれ症状について12級13号の認定を受けることができますが、自賠責の頚髄損傷にあたらないケースであることを理解していない弁護士に依頼した場合には、そもそも仕組みを理解していないので、ズレた対応を行い、そもそも等級が認められないこともあります。
したがって、このようなケースでも、後遺症に強い弁護士に依頼する必要があります。
第2 圧迫骨折
1.圧迫骨折は交通事故で非常に多くみられる骨折です。
当事務所では、これまでに膨大な数の圧迫骨折の事例を扱っており、しっかりと等級の認定を受けております。圧迫骨折のケースでもいくつか重要なポイントがあります。
2.1つ目の圧迫骨折のポイントとして、圧迫骨折の見落としを防がなくてはならないということがまずあげられます。
医師において圧迫骨折の見落としは多くはないですが、これまでに見落としがあったケースを何件も経験しています。この見落としは、圧迫の程度が小さい場合の見落としと、圧迫骨折の他にもっと大きな怪我を負ってしまっていたためそちらに治療を集中したため見落とされてしまったケースの2種類があります。例えば、頭蓋骨骨折で開頭手術をしたような重傷のケースでは、治療も注意も頭部に集中するため、圧迫骨折が見落とされてしまっているようなケースもおきてしまうのです。
当所では、全てのケースでレントゲン、CT、MRI画像をチェックして見落としを防いでいます。
3.圧迫骨折の2つ目のポイントとして、圧迫骨折の程度に応じた適正な等級の認定を受ける必要があるということです。
圧迫骨折(脊柱の変形障害)については、
①脊柱に著しい変形を残すもの、
②脊柱に中程度の変形を残すもの、
③脊柱に変形を残すもの
の3段階で等級が認定されています。
固定術を受けている場合、11級7号は認定されるのですが、ここからが弁護士の腕の見せ所になります。
手術後の被害者に、上・下肢の麻痺、強烈な痺れ、上・下肢の疼痛、排尿障害など、重篤な脊髄症状が残存していれば、神経系統の機能障害で等級の獲得を目指す必要があります。障害の程度により、9級10号、7級4号、5級2号が選択されています。
当事務所では、
①椎弓形成術の施行を受けていて11級7号が認定されていた相談者について異議申立てを行った結果、5級2号が認定されたケース
②脊椎固定術が行われていた相談者について後遺障害等級申請をして神経系統の機能障害で9級10号を獲得したケース
③椎弓形成術の施行を受けていて11級7号が認定されていた相談者について異議申立てを行った結果、脊柱の運動障害として8級2号が認定され、その他の後遺障害と併せて併合6級が認定されたケース
④腰椎、胸椎の圧迫骨折の傷害を負った相談者について、後遺障害等級申請をして脊柱の変形障害で8級相当を獲得したケース
等の多くの実績があります。
4.圧迫骨折の3つ目のポイントとして、圧迫骨折で後遺障害等級の認定を受けた場合、保険会社は、裁判基準よりもかなり低い賠償額を提示してくることが多いので注意が必要ということです。
この場合、保険会社は、①認定されている等級の自賠責保険から支払われる保険金額だけを提示してくる場合と、②脊柱の変形障害では、労働能力喪失に影響がないとして逸失利益部分の賠償についてゼロもしくは著しく少ない金額を提示してくる場合があります。以下解説します。
⑴ ①保険会社が認定されている等級の自賠責保険から支払われる保険金額だけを提示してくるケース
自賠責保険から支払われる保険金額もかなり高額になるため、保険会社からの提示額を適正金額だと誤信して示談してしまう方が多くみられますので注意して下さい。
具体的には、脊柱の変形障害で11級7号が認定された場合、自賠責保険から後遺症分として331万円が支払われます。保険会社は、後遺症分について331万円だけ提示して示談を済ませようとすることが多いので気をつけて下さい。一般の方は、331万円という提示を受けた場合、金額が大きいため適正な示談額と誤解してしまいがちですが、この331万円はあくまで自賠責保険から支払われる金額であって、これに加えて加害者側の保険会社からもしっかりと賠償を受ける必要があります。
当所が対応したケースで、後遺障害分として331万円しから保険会社から提示されていなかったものの、当所が対応した結果、後遺障害分について1300万円まで増加させたけケースがあります。
このケースのように後遺障害分だけで1000万円もアップすることがありますので、脊柱の変形障害で11級の認定を受けている方は、後遺障害分について自賠責分の331万円もしくはそれに近い金額の提示があった場合には、示談をする前に1度ご相談下さい。
⑵ ②保険会社が、脊柱の変形障害において、労働能力喪失に影響がないとして逸失利益部分の賠償についてゼロもしくは著しく少ない金額を提示してくるケース
保険会社は、脊柱の変形があっても労働能力に影響はないとして、後遺障害等級が認定された場合の賠償項目としての逸失利益について保険会社が賠償額についてゼロや著しく少ない金額を提示してくる場合があります。
これは弁護士が入っている場合でも保険会社はこのような主張をしてきます。保険会社がこのような主張をして、交渉しても適正な逸失利益の賠償を認めない場合には、裁判を行い、しっかりと賠償を受ける必要があります。
当所で対応したケースでは、逸失利益について80万程度しか提示してこなかった2つケースで、裁判を行って、それぞれ逸失利益について1250万円、1060万円までアップさせました。
このように、ケースによっては裁判を行わないと適正な補償を受けることができないことがありますので、交通事故に強くはない弁護士や裁判を避ける弁護士では適正な補償を受けることができないことになります。そのため、交通事故に強く、裁判をしっかりと行う弁護士に依頼する必要がありますので、弁護士選びにも注意して下さい。