骨折と後遺症は切っても切り離せません。交通事故で骨折の怪我をした場合、治療を終えても後遺症が残るケースが多くみられます。そして、後遺症が残った場合には、後遺症の申請の手続きを行って、後遺障害等級の認定を受ける必要があります。
交通事故によって生じる骨折は様々な種類がありますが、交通事故でよく見られる骨折としては、腰椎や胸椎の圧迫骨折、骨盤骨折、鎖骨骨折、上腕骨骨折、橈骨遠位端骨折、大腿骨骨折、脛骨高原骨折、足関節骨折等があります。
そして、骨折は骨折の種類ごとに等級の認定のポイントが全く異なりますので注意が必要です。以下、骨折のケースでの注意点について解説します。
骨折のケースは始めから後遺障害等級の認定を受けることを見据えて対応する必要があること
骨折と後遺症は切っても切り離せません。交通事故で骨折の怪我をした場合、治療を終えても痛みや可動域制限の後遺症が残るケースが多くみられます。そして、骨折のケースでは、不全骨折(ひび)等の軽い骨折の場合を除いて、始めから後遺症が残ったことを想定してしっかりと準備をしていく必要があります。治療が終った段階で、後遺症の認定を受ける準備を始めても手遅れとなることもあるからです。
等級の認定を受けることのメリット
保険会社が支払う保険金は、認定される等級に応じて算定されますから、高い等級が認定された場合にはそれだけ受け取る保険金も多くなります。適正な賠償を受けることで、症状固定ということで保険会社からの治療費の支払いがストップした後の治療費の原資を確保することができ、安心して通院することが可能になるのです。
等級の認定を受けるためには
等級が認められるためには、後遺症の存在を証明して後遺症の申請手続きを行い、等級の認定を受ける必要があります。
後遺症の申請手続きは被害者請求の方法で行うべきこと
後遺症の申請手続きを加害者側の保険会社に任せている被害者の方も多くみられますが(加害者側の保険会社がサービスで後遺症の申請手続きをすることを事前認定といいます。)、後遺症の申請手続きは弁護士による被害者請求の方法で行うべきです。
等級が認定されれば加害者側の保険会社による保険金の支払い額が増えることになるので、加害者側の保険会社と被害者は利益が対立する関係にあります。そのため、加害者側の保険会社に後遺症の申請手続きを任せるべきではないのです。
但し、当然ですが、後遺症の申請手続きを弁護士に任せるしても後遺症に強い弁護士に依頼しないと全く意味がありませんので注意して下さい。
後遺症の申請は後遺症に強い弁護士に依頼する必要があること
骨折は、骨折の種類ごとに等級の認定のポイントが全く異なりますし、体中で何か所も骨折するような重傷のケースや腓骨神経麻痺のケースでは、等級認定の難易度が格段に高く、後遺症に強い弁護士でないと全く太刀打ちできません。
したがって、後遺症の申請の手続きは、同様の骨折について過去に実際に後遺症の申請をして等級の認定を受けた実績のある後遺症に強い弁護士に依頼すべきです。
なお、当所では、骨折のケースでは、原則として、医師と面談を行い、被害者に残る後遺症について協議し、後遺障害診断書の作成の際にも被害者の方と一緒に病院に行き、後遺症の証明に必要な検査を依頼しています。
重傷の骨折のケースの注意点について
体中で何か所も骨折しているケースや腓骨神経麻痺等の重傷のケースでは、適正な等級の認定をうけるためには徹底したサポートが必要になります。
当所では、体中で何か所も骨折するような重傷のケースでは、被害者に1度事務所にきてもらい、レントゲン画像、CT画像、MRI画像をモニターで示し、画像上どの点に異常があるのか、今後、等級をとるためにはどのように進めていくのか、そのための課題や問題点はなんなのか、被害者やご家族がしなくてはいけないことは何なのかをご説明して、今後の方針を明確に示します。そして、その上でしっかりと後遺障害等級認定に向けてサポートを行っています。後遺症の等級の証明は徹底したサポートが必要なのです。後遺症のサポートやアドバイスを何もせず、治療の終了の段階になって、後遺障害診断書の紙を渡されて病院の医師からもらってきて下さいという対応をされた場合、等級の認定を真剣に考えている被害者の方は一度立ち止まった方がよいでしょう。