1.骨折の中で1番多い鎖骨骨折
意外と思われるかもしれませんが、鎖骨骨折は、交通事故でおきる骨折の中で1番多い骨折です。私の事務所に骨折で怪我をして相談にくる方のかなりの方が鎖骨骨折です。
鎖骨を含む肩関節部分は、人間の体でなめらかなでやわらかい動きができる反面、骨でがっちり固定されている訳ではないので、どうしても衝撃に弱くなっています。 自転車、バイクと自動車の交通事故で、被害者が転倒、手・肘・肩などを打撲したときに、その衝撃が鎖骨に伝わり、鎖骨骨折を発症しています。 自動車同士の追突、出合い頭衝突、正面衝突では、シートベルトの圧迫で鎖骨が骨折することもあります。
鎖骨の横断面は、中央部から外側に向かって三角形の骨が、薄っぺらく扁平して行きます。 三角形から扁平に骨が移行する部位が鎖骨のウィークポイントであり、鎖骨骨折の80%が、その部位で発生しています。この部位は、より肩関節に近いところから、遠位端骨折と呼ばれています。
肩鎖関節部も発症が多いです。
肩鎖靱帯が断裂することにより、肩鎖関節は脱臼し、鎖骨は上方に飛び上がります。
鎖骨骨折、鎖骨脱臼の治療は、ほとんどが手術をせず、固定による保存療法が選択されています。
2.鎖骨骨折における後遺障害等級認定のポイント
(1) 鎖骨は体幹骨であり、体幹骨の変形として12級5号の認定が問題になります。
まず、鎖骨骨折で相談にきた場合には、まず変形の有無を確認します。
裸の状態で鎖骨部位に変形が確認できれば、認定基準をクリアします。
鎖骨の変形では、骨折部に運動痛があるかどうかも重要なポイントになります。
この変形の立証が弁護士の腕の見せ所になります。
次に、骨折部に痛みがないか確認して立証資料を準備していきます。 骨折部の痛みは後遺障害逸失利益にかかわってきます。
(2) 鎖骨の遠位端骨折部の変形により、肩関節の可動域に影響を与えることが予想され、肩関節の機能障害として12級6号も問題になります。
肩関節の可動域が4分の3以下であれば、12級6号が認定され、先の変形による12級5号と併合され、併合11級が認定されることになります。
主要運動が複数ある肩関節の機能障害については、屈曲と、外転+内転のいずれか一方の主要運動の可動域が、健側の2分の1以下に制限されているときは、肩関節の機能に著しい障害を残すものとして10級10号、同じく、4分の3以下に制限されているときは、肩関節の機能に障害を残すものとして12級6号が認定されています。
屈曲と、外転+内転が、切り離して認定される点がポイントです。
(3) まとめ
鎖骨の骨折に関して後遺障害等級をとるためには、適切な立証をおこなっていく必要があり、経験とノウハウが必要になります。
当事務所では、鎖骨骨折に関して数多くの実績がありますので安心してご相談にきてください。