見過ごされる高次脳機能障害
1 高次脳機能障害の特徴
高次脳機能障害とは、脳に重大な損傷を負い、一見普通に見えても、以前と比較すると記憶力が低下していたり、感情のコントロールができなくなっていたり、作業の反復継続ができなくなっていたりといった症状があらわれ、脳機能が障害された状態を言います。
この高次脳機能障害には、非常に大きな特徴があります。それは高次脳機能障害になっていることに怪我をした本人もご家族も気付きにくいということです。
高次脳機能障害では事故前と比べても身体的な症状はほぼなないか軽度なものであることから見過ごされてしまうのです。
本人もご家族も、事故後に何か記憶力がすごく悪くなったとは認識しているのですが、日常生活には支障がないため、それが高次脳機能障害だとは気付かないのです。
2 高次脳機能障害であることに気づくために
しかし、高次脳機能障害としての、言語障害、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの症状により、日常生活や社会生活や仕事に大きな影響を及ぼすことから、適切な後遺障害等級及び補償を受けないと本人及びご家族の生活は破壊されてしまいます。
そこで、高次脳機能障害であることにできるだけ早く気が付くことが重要です。
そのため、頭部外傷や頭蓋骨骨折、脳挫傷、びまん性軸索損傷などの頭部に大きな怪我をした方に次のような症状があらわれている場合には高次脳機能障害を疑って、まずは相談にいらしてください。
- 今まで普通に話すことができたのに普通に話せなくなった
- 些細なことで怒るようになった
- 事故以来、物忘れがひどくなった
- 新しく出会った人の顔を覚えられない
- 掃除、片づけをまったくしなくなり、部屋は散らかり放題になった
- 味がついているのに、大量に醤油をかけて食べる
- まっすぐ歩けず、蛇行している