1 はじめに
顔に傷が残ってしまった場合、醜状障害として後遺障害等級の認定を受ける必要があります。
その傷の程度に応じて、後遺障害等級7級12号、9級16号、12級13号が認定されます。
顔に傷が残るような事故は多くはないと思われるかもしれませんが、実はかなり発生しています。追突事故の場合でも、顔をハンドルにぶつけて顔を負傷することが結構生じるからです。
この醜状障害では特に気をつけなくてはいけない点があります。
それは、保険会社は、交渉では後遺障害逸失利益という将来の減収分についてはまず支払わないということです。顔に傷が残っても将来の労働能力の喪失はないという見解を強力に主張してくるのです。
しかし、顔に傷が残った場合、人前で行う営業職の場合等で減収は生じますし、裁判をすれば後遺障害逸失利益は認められます。実際、当事務所でも、何件も顔の醜状障害で裁判を行うことで後遺障害逸失利益を獲得しています。
そして、後遺障害逸失利益は損害項目の中で1番賠償額が大きくなる可能性の高い項目であり、この賠償が認められるかどうかによって賠償額が数百万円も変わってくることがあります。
2 醜状事案の特徴
⑴ 慎重に認定を受ける必要があること
線状痕の場合、後遺障害等級が1ミリ、2ミリの差で認められなかったり、認められたりしますので、慎重に手続き進める必要があります。当事務所では、適切な認定を受けることができるよう対応をしています。
⑵ 見落とされがちなこと
醜状障害は、顔に傷が残っても、被害者本人が後遺障害等級の対象になることを気づいておらず、見過ごされることもあります。保険会社の担当者も見過ごされている場合に、親切に醜状部分についても後遺症の申請をしましょうとは言ってくれませんので注意が必要です。後遺障害等級の認定を受けることは自己責任なので気をつけて下さい。
⑶ 保険会社の話を鵜呑みにしてしまう被害者の方が多いこと
後遺障害等級が認められた場合でも保険会社は、将来の減収分の補償としての後遺障害逸失利益について支払おうとはしません。保険会社は、顔に傷が残っても労働能力が減ることはないのでこの部分の補償を受けることはできないと平然と言ってきます。一見するともっともそうな理屈のため、この保険会社の主張を鵜呑みにしてしまう被害者の方も多いのが現状です。
⑷ 適正な補償を受けるためには裁判をおこす必要があること
保険会社は、醜状障害については後遺障害逸失利益は生じないという立場を強くとり、交渉で支払うことはまずありません。当事務所でもかなり数の醜状障害のケースを扱ってきていますが、ただの1度たりとも保険会社は交渉では後遺障害逸失利益を支払おうとはしませんでした。
したがって、裁判を起こす必要がありますが、裁判を起こせば適切な補償を受けることができます。
⑸ 法律事務所選びにも気を付ける必要があること
裁判を行わなくては適正な補償を受けることができないという性格上、法律事務所選びにも気をつける必要があります。法律事務所によっては交通事故で裁判をしないというところがあるからです。
以前私の事務所に相談にきた被害者の方は、東京の法律事務所に相談した際、その事務所は「裁判を起こしても費用面でマイナスかせいぜいトントンである」と虚偽の事実を述べて(もしくは交通事故の経験が少ないために本当にそのように考えたのか)受任しようとしたとのことでした。
その事務所は、宣伝で全国各地から依頼を受けているものの、交通事故については東京で一括管理して裁判を行わないという方針をとっている事務所でした。こともあろうか、その事務所は、裁判をしない方針をとっている事務所であるにもかかわらず、「裁判を起こしても費用面でマイナスかせいぜいトントンである」と虚偽の事実を述べて(もしくは交通事故の経験が少ないために本当にそのように考えたのか)受任しようとしていました。おそらく提示額から少しだけ上げて和解しようとしていたと思われますが、このような法律事務所に依頼してしまった場合、被害者が適切な補償を受けることはできず、著しい不利益を被ることになります。
法律事務所に依頼する際には、裁判の経験が豊富な事務所に依頼する必要がります。どこの法律事務所に依頼するかについても被害者の自己責任ですのでご注意下さい。裁判をしないという方針をとっているというとんでもない法律事務所も実際に存在するのです。
3 まとめ
当事務所では、多数の醜状障害事案の実績があり、実際に裁判をおこして後遺障害逸失利益についても適正な補償を受けておりますので安心してご相談下さい。
醜状障害事案の実績紹介
【211】 顔の醜状障害により後遺障害12級14号の認定を受けていたものの、保険会社より自賠責基準での賠償額の提示しか受けていなかったケースで、裁判により700万円を増額させた事案
【204】 顔の醜状障害で後遺障害9級16号が認定されている被害者のケースで、交渉において後遺障害逸失利益についてゼロ回答であったものの裁判を行うことで約1400万円の後遺障害逸失利益を獲得した事案
【106】 顔の醜状障害について被害者請求により12級14号の認定を受け、その後の裁判により760万円を増加したケース
【103】 顔の額の醜状障害について被害者請求により12級14号の認定を受け、その後の裁判により750万円を獲得したケース
【57】 被害者請求により顔の額の醜状障害により後遺障害12級14号を獲得した事案
【49】 醜状障害による後遺障害等級14級10号の事案で、裁判により後遺障害等級12級14号相当として賠償額を600万円増額させた事案